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Chapter 9: 継母が隠した真実

帰宅した時、家の中は静かだった。

以前なら、その静けさに孤独を感じていた。

でも今は違った。

静けさの中に、隠されたものがある気がした。

リビングには美奈子がいた。

彼女は私を見ると、少し驚いた顔をした。

「帰ってきたのね」

私は鞄を置いた。

「聞きたいことがあります」

美奈子の表情が固まる。

「何?」

「私のお母さんのこと」

一瞬。

本当に一瞬だけ。

美奈子の顔が変わった。

それを私は見逃さなかった。

「……どうして今、その話を?」

「知っていることを全部話してください」

美奈子は目を逸らした。

「私には関係ないわ」

「関係あります」

私は言った。

「あなたはこの家に10年いた」

沈黙。

美奈子はため息をついた。

「美月」

「何ですか」

「あなたは、本当に何も知らないのね」

その言葉に胸がざわついた。

「何を?」

美奈子は椅子に座った。

「あなたのお父さんが変わった理由」

私は黙った。

「隆司さんは、あなたのお母さんが亡くなった後、壊れていた」

「知っています」

「違う」

美奈子は首を振った。

「あなたは知らない」

彼女は続けた。

「彼は毎晩、あなたの部屋の前に立っていた」

私は息を止めた。

「……嘘」

「本当よ」

美奈子の声は小さかった。

「でも、入れなかった」

「なぜ」

「怖かったから」

私は笑いそうになった。

「みんな怖かったって言う」

美奈子は目を伏せた。

「そうね」

そして、小さく言った。

「でも、一番怖かったのは、あなたに嫌われることだったのかもしれない」

私は何も言えなかった。

美奈子は続けた。

「でも、私は許されないことをした」

その言葉で空気が変わった。

「何を?」

美奈子は震える手で引き出しを開けた。

中から古い封筒を取り出した。

「これは、本当はあなたに渡すべきだった」

私は封筒を見る。

そこには私の名前。

そして、母の名前。

「なぜ持っていたんですか」

美奈子は答えた。

「あなたのお父さんに頼まれたから」

私は驚いた。

「父が?」

「あなたに渡す勇気がなかった」

封筒を開ける。

中には母の最後のメッセージがあった。

でも、そこに書かれていた内容は、私の想像を超えていた。

『美月へ』

『もし、この手紙があなたに届く頃、あなたが家で孤独を感じているなら』

『お願いがあります』

『お父さんを責める前に、一度だけ彼の本当の気持ちを聞いてあげて』

私は読む手を止めた。

そして最後の一文。

『でも、もし彼があなたの夢を奪おうとしているなら――』

『その時は、誰よりも強く自分の未来を守って』

私は顔を上げた。

美奈子が泣いていた。

「私は間違えた」

彼女は言った。

「あなたより彩香を優先した」

「招待状も?」

美奈子は頷いた。

「ごめんなさい」

その時。

玄関のドアが開いた。

父だった。

彼は私たちを見た。

そして、机の上の手紙に気づいた。

顔色が変わる。

「それを読んだのか」

私は父を見る。

「はい」

父はゆっくり近づいた。

「なら、もう隠せない」

私は立ち上がった。

「何を?」

父は深く息を吸った。

「お前の母親が亡くなる前日」

部屋が静かになる。

「俺は、彼女と約束した」

「何を?」

父の声が震えた。

「お前が18歳になったら、全部話すと」

私は拳を握った。

「でも、あなたは話さなかった」

父は目を閉じた。

「……ああ」

そして、震える声で続けた。

「なぜなら、その真実を話したら、お前は俺を一生許さないと思ったからだ」

私は父を見る。

「何をしたの?」

父は答えた。

「お前のお母さんが最後に残した願いを……俺は一度、破った」

その瞬間。

父のスマホが鳴った。

画面に表示された名前。

黒田誠。

父は電話を見るだけで震えた。

そして、低い声で言った。

「ついに来たか」

私は画面を見た。

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そして気づいた。

本当の秘密は、まだ始まったばかりだった。

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