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消えたカメラの緑の光 / Chapter 13 / 14

Chapter 14: 最後の証明

校長室には、重い沈黙が流れていた。

蓮くんは何も言えなかった。

ずっと自分を助けてくれた人。

信じようとしていた人。

その人の名前を、父親は裏切り者として残していた。

「……校長先生」

蓮くんの声が震える。

「本当なんですか?」

樋口校長は目を閉じた。

しばらくして。

「はい」

その一言で、全てが崩れた。

私は信じられなかった。

「どうして……」

校長は椅子に座った。

「私は、君のお父さんを裏切った」

蓮くんは黙って聞いていた。

「でも、理由があった」

「理由?」

校長は古い写真を取り出した。

そこには若い頃の三人。

蓮くんの父親。

黒川理事。

そして樋口校長。

「私たちは昔、同じ会社で研究をしていた」

校長は話した。

「君のお父さんは才能があった。黒川は野心があった」

「先生は?」

「私は臆病だった」

その言葉が胸に残った。

「黒川は利益を求めた。君のお父さんは正しいことを求めた」

校長は拳を握った。

「私は間に立とうとして、どちらも失いたくなかった」

「それで?」

蓮くんが聞いた。

「結果的に、私は黒川を止められなかった」

校長の目に涙が浮かぶ。

「君のお父さんは、私に助けを求めた」

「でも、助けなかった」

「……はい」

蓮くんは俯いた。

「だから父さんは、先生を疑った」

校長は頷いた。

「その通りです」

しかし、校長は続けた。

「でも最後の瞬間、君のお父さんは私にもう一つのメッセージを残した」

「何?」

校長は机の引き出しから封筒を出した。

「私はそれを見る勇気がなかった」

中には短い手紙。

『樋口へ。

君がこれを読む時、私は怒っているかもしれない。

でも、君を完全には憎めない。

なぜなら君は、間違っただけで悪人ではないからだ』

校長は泣いた。

「私は彼を裏切った」

「でも?」

「彼は最後まで私を信じようとしていた」

蓮くんは静かに聞いていた。

「じゃあ、今まで僕を助けたのは……」

「罪滅ぼしです」

校長は答えた。

「君のお父さんとの約束を果たすため」

長い沈黙。

そして蓮くんは言った。

「許せるかは分かりません」

校長は頷いた。

「当然です」

「でも……」

蓮くんは続けた。

「僕を助けてくれたことまで嘘だったとは思いたくないです」

校長は顔を上げた。

その言葉に、涙を流した。

数日後。

学校では正式な調査が始まった。

坂本先生は教師を辞めることになった。

でも、最後に蓮くんへ謝罪した。

「ごめんなさい」

彼女は深く頭を下げた。

「あなたの人生を壊すところだった」

蓮くんはしばらく黙っていた。

そして言った。

「もう二度と、誰かを傷つけないでください」

坂本先生は泣きながら頷いた。

事件が終わってから。

蓮くんは少しずつ変わった。

以前のように俯かなくなった。

授業でも手を挙げるようになった。

そしてある日。

算数の授業で先生が言った。

「蓮、この問題を解いてみて」

以前なら緊張していたはずなのに。

彼は立ち上がった。

そして黒板に答えを書いた。

教室には拍手が起きた。

その姿を見ながら、私は思った。

あの日。

防犯カメラのスイッチを戻した小さな行動。

それが一人の少年の未来を変えた。

でも。

事件は完全には終わっていなかった。

卒業式の日。

蓮くんの机の中に、一枚の手紙が入っていた。

差出人は不明。

封筒の中には、たった一文。

『君のお父さんが隠した最後の秘密は、まだ残っている』

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そして下には。

知らない住所が書かれていた。

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