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Chapter 9: 消えた証拠と迫る影

その夜、蓮くんのお母さんの家には警察が来た。

幸い、誰かが侵入した形跡はなかった。

でも、家の中から一つだけなくなっているものがあった。

昔の写真アルバム。

蓮くんのお母さんは、それを聞いた瞬間、顔を青くした。

「アルバム……」

「何か重要なものが入っていましたか?」

警察官が聞く。

彼女は答えなかった。

私は隣で見ていた。

彼女の手が震えていた。

「お母さん」

蓮くんが声をかける。

「何を隠してるの?」

彼女は目を閉じた。

「蓮……」

「もう聞きたくないって思ってた。でも、今は知りたい」

蓮くんの声は静かだった。

「僕を守るためなら、全部教えて」

長い沈黙。

そして、彼女は話し始めた。

「あなたのお父さんが亡くなる前、ある証拠を残していた」

「証拠?」

「あなたの叔母さんが会社のお金を不正に使っていた証拠」

蓮くんは息を飲む。

「それをアルバムに隠したの」

「写真の中に?」

「そう」

私は驚いた。

普通の家族写真。

でも、その中に誰かを追い詰める証拠が隠されていた。

だから盗まれた。

「じゃあ、叔母さんはまだ探してる?」

蓮くんのお母さんは頷いた。

「きっと」

翌日。

学校では緊急保護体制が取られた。

校門には警備員。

教室の前にも先生。

でも、安心できなかった。

なぜなら。

敵は外から来るとは限らないからだ。

昼休み。

私は蓮くんと屋上近くの階段に座っていた。

「大丈夫?」

私が聞くと、蓮くんは少し笑った。

「分からない」

「怖い?」

彼は頷いた。

「でも、前より少しだけ違う」

「何が?」

「今までは、全部僕が悪いと思ってた」

蓮くんは空を見た。

「でも、違ったんだよね」

「うん」

「僕を傷つけていた人たちが間違ってた」

その言葉を聞いて、少し安心した。

彼はやっと、自分を責めることをやめ始めていた。

その時。

校内放送が突然流れた。

『5年2組の生徒、蓮くん。至急、校長室へ来てください』

私たちは顔を見合わせた。

「また何か?」

嫌な予感がした。

校長室へ向かうと、樋口校長が待っていた。

机の上には、なくなったはずのUSBメモリ。

蓮くんが驚く。

「戻ってきたんですか?」

校長は首を振った。

「違う」

「では、誰が?」

校長は画面を見せた。

USBメモリの中には、新しい動画ファイルが一つだけ入っていた。

再生すると、暗い部屋が映った。

そして。

画面の前に座る人物。

顔は見えない。

でも、声だけは聞こえた。

「蓮へ」

その声を聞いた瞬間。

蓮くんが立ち上がった。

「……父さん?」

画面の人物は続けた。

「もしこの映像を見ているなら、私はもう君のそばにいない」

全員が息を止める。

「そして、君が信じてはいけない人間が一人いる」

映像の中の父親は、ゆっくり名前を告げた。

その名前を聞いた瞬間。

蓮くんは崩れ落ちた。

父親が警告していた相手。

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それは――。

蓮くんのお母さんだった。

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