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Chapter 8: 逆転する証拠

旧ホテル棟の入り口が激しく開いた。

「警察です!」

複数の足音。

叔父は後ろへ下がった。

「誠一……」

怒りに満ちた声。

「まさか、私を裏切るとはな」

私はその言葉を聞いて違和感を覚えた。

裏切る?

まるで、父と叔父が以前は同じ側だったような言い方だった。

警察官が部屋に入ってくる。

「西園寺隆司さんですね」

叔父は黙った。

「誘拐、脅迫、証拠隠滅の疑いで話を聞かせていただきます」

叔父は小さく笑った。

「証拠は?」

警察官が答える前に、別の声がした。

「あります」

父だった。

私は振り返った。

そこに立っていた。

少し疲れた顔。

でも、自分の足で歩いている。

「お父さん!」

私は駆け寄った。

父は私を抱きしめた。

「無事でよかった」

私は涙をこらえられなかった。

「ごめんなさい……」

「謝るな」

父は首を振る。

「私がもっと早く話すべきだった」

その言葉に胸が痛んだ。

叔父は冷たく笑う。

「感動の再会か」

父は叔父を見る。

「隆司」

「何だ」

「なぜこんなことをした」

叔父の顔から笑みが消えた。

「なぜ?」

彼は低く笑った。

「本当に分からないのか?」

「……」

「私はずっと待っていた」

叔父は拳を握る。

「春香が死んだ日から」

私は息を止めた。

「あなたは彼女に選ばれた」

叔父は父を睨む。

「血の繋がりもないあなたが、このホテルを守る役目を得た」

父は静かに答える。

「春香が決めたことだ」

「そうだ!」

叔父が叫ぶ。

「だから許せなかった!」

静かな建物に声が響いた。

「私は西園寺家の長男だった!」

「なのに、なぜ全部お前に渡る?」

父は答えなかった。

叔父は続ける。

「春香は美咲を後継者にした」

私を見る。

「たった一人の子供だから」

私は拳を握った。

「だから私を消そうとしたの?」

叔父は黙る。

その沈黙が答えだった。

父が一歩前に出る。

「隆司、お前は間違えた」

「何がだ」

「ホテルが欲しかったわけじゃない」

父の声が震える。

「お前が欲しかったのは、認められることだった」

叔父の表情が崩れた。

その瞬間。

警察官が一枚の写真を取り出した。

「西園寺さん」

父へ渡す。

「こちらも確認してください」

写真には古い車。

事故現場。

そして日付。

母が亡くなった日。

私は息を止めた。

「これは……」

警察官が言う。

「事故ではありません」

叔父の顔が変わった。

「何を言っている」

「車両のブレーキに細工された形跡があります」

沈黙。

父が目を閉じた。

「やはり……」

私は父を見る。

「知っていたの?」

父は苦しそうに頷いた。

「疑っていた」

「じゃあ、なぜ?」

「証拠がなかった」

父の声が震えた。

「そして、お前まで危険にさらしたくなかった」

叔父が突然笑った。

「証拠?」

全員が見る。

「証拠なら、もう一つある」

叔父はポケットから小さなUSBメモリを取り出した。

「これを見れば分かる」

警察官が近づく。

しかし叔父はUSBを握ったまま言った。

「美咲」

私は警戒した。

「これには、君の母親が最後に残した映像が入っている」

心臓が跳ねた。

「嘘」

「本当だ」

叔父は笑う。

「そして、そこには君の父親の秘密も映っている」

父の顔色が変わった。

私は気づいた。

父は、そのUSBの存在を知らない。

叔父は続けた。

「見るか?」

静寂。

「それとも、何も知らないまま父親を信じるか?」

私はUSBを見つめた。

そして思った。

もう、誰かに守られるだけの私ではいたくない。

「見せて」

父が私を見る。

「美咲」

私は首を振った。

「知る」

私は叔父を見た。

「全部知る」

叔父はUSBを渡した。

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しかし、再生された映像の最初の数秒で。

私たちは全員、言葉を失った。

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