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Chapter 12: 祖母の録音

警察に連絡する前。

高橋さんは録音データを確認した。

古い機械。

少し雑音が入っていた。

でも。

声は聞こえた。

祖母の声。

『この記録を残す理由を説明します』

私は息を止めた。

何年ぶりに聞く声だろう。

涙が出た。

『黒田真人は、人の信頼を利用します』

『彼は家族という言葉を使い、人を操ります』

黒田の顔が変わった。

父が彼を見る。

「全部知っていたのか」

黒田は黙った。

録音は続く。

『そして、私が最も心配しているのは、咲希です』

私の名前。

祖母の声。

『あの子は優しい。だからこそ利用される可能性がある』

胸が締め付けられた。

『もし誰かが咲希から何かを奪おうとした時』

『この記録を使ってください』

高橋さんは録音を止めなかった。

最後の部分。

祖母の声が少し震えていた。

『そして、咲希』

『もしあなたがこれを聞いているなら』

私は目を閉じた。

『あなたは、血ではなく愛で家族を選んでいい』

涙が溢れた。

『あなたを育てた人』

『あなたを守った人』

『あなたを傷つけた人』

『全てを知った上で、あなた自身の答えを選びなさい』

録音が終わった。

部屋は静かだった。

黒田だけが動いた。

突然。

彼が箱へ手を伸ばした。

父が止める。

「もう終わりだ」

黒田は睨んだ。

「違う」

「何が?」

黒田は私を見る。

「まだ君は知らない」

私は警戒した。

「何を?」

黒田は笑った。

「神谷が本当に君を守っていた理由」

神谷さんの顔が固まる。

父が聞く。

「どういう意味だ」

黒田は続けた。

「彼は君の父親だ」

「それだけじゃない」

私は息を止める。

黒田は最後の一言を放った。

「君の母親が亡くなった夜、彼はその場にいた」

神谷さんが顔を伏せる。

父が彼を見る。

「本当か?」

長い沈黙。

そして。

神谷さんは小さく頷いた。

「……いた」

私の心臓が痛んだ。

「なぜ言わなかったの?」

神谷さんは目を閉じた。

「言えなかった」

「なぜ?」

彼は答えた。

「あなたのお母さんを助けられなかったから」

その瞬間。

外でサイレンの音が聞こえた。

警察だった。

黒田は動けなくなった。

でも。

私は神谷さんを見ていた。

祖母が残した真実。

母が守った秘密。

そして。

父だと思っていた人。

本当の父親かもしれない人。

私の人生は。

まだ終わっていなかった。

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むしろ。

ここから本当の答えが始まろうとしていた。

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