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Chapter 14: 家族を壊した理由

美智子の子供。

その言葉を聞いた瞬間、私は理解できなかった。

健太。

美咲。

あの二人が?

私は何度も首を振った。

「ありえません」

警察官は静かに答えた。

「まだ確認中です。しかし、証拠が示しています」

翌日、私は健太と話すことになった。

彼は以前のような強気な態度ではなかった。

目を合わせようとしない。

「健太」

彼は黙っていた。

「聞きたいことがある」

しばらくして、彼は小さく言った。

「俺は……全部知らなかった」

私は黙って待った。

「最初は、ただ母さんを手伝ってるだけだと思った」

「何を手伝った?」

彼は拳を握った。

「動画を探した」

私は息を止めた。

「莉子の?」

彼は頷いた。

「母さんが、莉子を悪者にする材料を探してた」

胸が痛んだ。

「なぜ止めなかった」

健太の目に涙が浮かんだ。

「怖かった」

「何が?」

「母さんが」

その答えを聞いて、私は少しだけ理解した。

美智子の支配は、莉子だけに向けられていたわけではなかった。

「美咲も知っていたのか?」

健太は首を振った。

「妹は最後まで知らなかった」

その後、美咲も証言した。

「私は、お姉ちゃんみたいな莉子ちゃんが嫌いじゃなかった」

彼女は泣きながら言った。

「でも、お母さんが怒るから何も言えなかった」

私は胸が締め付けられた。

この家では、誰も本当の意味で幸せではなかった。

美智子自身も。

子供たちも。

そして何より、莉子も。

数日後。

美智子との最後の面会があった。

彼女は以前より小さく見えた。

「あなたは勝ったわね」

彼女は言った。

私は首を振った。

「勝ち負けじゃない」

「じゃあ何?」

「莉子を守っただけだ」

美智子は笑った。

「あなたは最後まであの子を選ぶのね」

「当たり前だ」

彼女は黙った。

そして、初めて弱い声を出した。

「私には、そんな人はいなかった」

私は何も言えなかった。

美智子は続けた。

「子供の頃から、私はいつも誰かと比べられていた」

「沙織と?」

彼女は頷いた。

「沙織は何でも持っていた」

「でも、それは莉子を傷つける理由にはならない」

「分かってる」

彼女の目から涙が落ちた。

「分かっていたのに止められなかった」

その言葉に、私は初めて彼女の後悔を見た。

しかし、許すことと忘れることは違う。

私は莉子を思った。

彼女が受けた傷は簡単には消えない。

帰宅すると、莉子が庭にいた。

「パパ」

「どうした?」

「今日、美智子さんのこと聞いた」

私は隣に座った。

「怖かった?」

莉子は少し考えた。

「ううん」

「本当?」

「だって」

莉子は空を見た。

「もう一人じゃないから」

その言葉に胸が熱くなった。

数ヶ月後。

裁判は終わった。

美智子への処分も決まり、家族の生活は少しずつ戻っていった。

莉子は以前より笑うようになった。

葵ともよく遊んだ。

そしてある日。

莉子が私に小さな箱を渡した。

「これ」

開けると、中には古いスマホ。

「これ、何?」

莉子は笑った。

「葵ちゃんが最初に録画したスマホ」

私は驚いた。

「まだ持っていたのか」

「うん」

莉子は言った。

「これがなかったら、パパは信じてくれた?」

私は迷わず答えた。

「証拠がなくても、お前を信じた」

莉子は笑った。

その瞬間、私は思った。

私たちはやっと、本当の家族になったのだと。

しかし、その夜。

郵便受けに一通の手紙が届いた。

差出人は不明。

封筒を開く。

中には一枚の写真。

そして一文。

「まだ終わっていない」

写真を見る。

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そこには――

亡くなったはずの沙織が写っていた。

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