Amazed

Chapter 15: 守り続ける家族

写真を見た瞬間、私は息を止めた。

沙織。

間違いない。

莉子の母親。

しかし、写真の日付を見て、さらに混乱した。

沙織が亡くなった後の日付だった。

「そんなはずがない」

私は何度も写真を確認した。

偽物かもしれない。

そう思いたかった。

でも、写真の裏には沙織の字で書かれた文字があった。

「莉子をお願い」

私は椅子に座り込んだ。

翌日、由香さんと亮介を呼んだ。

写真を見せると、二人とも驚いた。

「これは……」

亮介が呟いた。

「沙織だ」

「でも日付が」

由香さんは写真を手に取った。

そして、しばらくして言った。

「分かった」

「何が?」

彼女は写真の端を指した。

「これは病院の写真じゃない」

「じゃあ?」

「沙織が亡くなる前に撮ったもの」

私は混乱した。

「日付が違う」

亮介は写真を拡大した。

「日付が書き換えられている」

まただった。

誰かが真実を隠していた。

しかし、今回は違った。

これは美智子ではない。

「誰が?」

その答えは、数日後に分かった。

警察から連絡が来た。

「写真を送った人物が分かりました」

私は尋ねた。

「誰ですか?」

警察官は答えた。

「沙織さんの元同僚です」

その人物は、沙織が亡くなる前に働いていた会社の人間だった。

会いに行くと、彼は一枚の箱を渡した。

「沙織さんから預かっていました」

中には日記。

そして、最後のUSB。

「なぜ今まで渡さなかった?」

彼は苦しそうに答えた。

「怖かったんです」

「何が?」

「沙織さんが言っていました」

彼は続けた。

「もし私に何かあったら、すぐには渡さないで」

私は驚いた。

「なぜ?」

「あなたが壊れてしまうから」

私は日記を開いた。

最後のページ。

そこには沙織の言葉。

「私はもう戻れないかもしれない」

「でも、莉子には未来がある」

「彼女に伝えてください」

「あなたの人生は、誰かの嘘で決まらない」

私は涙をこらえた。

家に戻ると、莉子が待っていた。

「パパ」

私は隣に座った。

「ママからの言葉があった」

莉子は静かに聞いた。

私は手紙を読んだ。

「莉子へ」

「あなたは私の一番大切な宝物」

「でも、あなたを守るために、あなたの人生を縛りたくない」

「あなたを愛してくれる人を信じて」

莉子の涙が落ちた。

「ママ……」

私は彼女を抱きしめた。

「お前のお母さんは、最後までお前を守っていた」

莉子は頷いた。

数年後。

莉子は高校を卒業した。

卒業式の日。

彼女は私に一枚の手紙を渡した。

「家に帰ってから読んで」

その夜。

私は手紙を開いた。

「パパへ」

「昔の私は、家族って血で決まると思っていました」

「でも違った」

「家族は、苦しい時に残ってくれる人」

「私が一番怖かった夜、パパは私を選んでくれた」

「だから今度は私が言います」

「パパ、ありがとう」

私は手紙を閉じた。

窓の外を見る。

あの冷たい夕食の夜から、長い時間が過ぎた。

でも、私は忘れない。

小さな女の子が、台所で一人で泣いていたこと。

そして、もう二度と同じ思いをさせないと誓ったこと。

家族は完璧ではない。

秘密もある。

傷も残る。

それでも。

本当に大切な人を守るために立ち上がること。

それが家族なのだと思う。

そして今でも、莉子が笑うたびに思う。

あの夜、葵が録画ボタンを押してくれていなかったら。

あの小さな勇気がなかったら。

私たちはずっと、嘘の中で暮らしていたかもしれない。

でも真実は、どれだけ隠されても消えない。

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そして愛は――

どんな嘘よりも強い。

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