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Chapter 6: 消えた証拠

暗闇の中。

僕は誰かの腕に引かれた。

「離して!」

叫んだ瞬間、葵ちゃんの声が響いた。

「翔太くん!」

次の瞬間、電気が戻った。

床に箱が落ちていた。

でも、中身がない。

DNA検査結果も。

父の手紙も。

全部消えていた。

「誰が持っていったの?」

僕は震える声で聞いた。

誰も答えなかった。

ただ、高橋さんだけが青ざめていた。

「……まさか」

「何?」

彼は地下室の出口を見る。

「先に入った人間がいた」

僕は理解できなかった。

「でも、ここには僕たちしか――」

そこで僕は気づいた。

恵美さんがいない。

「恵美さんは?」

全員が静かになった。

数秒後。

葵ちゃんが泣きそうな顔で言った。

「お母さん……いない」

僕の背中に寒気が走った。

彼女が犯人なのか。

それとも。

僕は机の上を見る。

そこに一枚だけ紙が残っていた。

父の字だった。

『翔太へ』

僕は急いで読む。

『もし証拠が消えたなら、信じてはいけない人間が近くにいる』

心臓が跳ねた。

『ただし、見た目だけで判断するな』

その下に続きがあった。

『本当に危険なのは、恵美ではない』

僕は息を止めた。

じゃあ誰?

紙の最後。

父は一つの名前を書いていた。

その名前を見た瞬間。

高橋さんの顔色が変わった。

「それを……どこで?」

僕は紙を見せた。

「父さんが書いた」

高橋さんは後ろへ下がった。

「違う」

「何が?」

「俺は……」

彼は言葉を失った。

その時、地下室の外から電話の音がした。

誰かのスマートフォン。

高橋さんのものだった。

彼は画面を見た。

そして震えた。

「出ない方がいい」

僕が言った。

でも遅かった。

高橋さんは電話に出た。

数秒聞いた後。

彼の顔から血の気が引いた。

「……分かりました」

電話を切る。

僕は聞いた。

「誰から?」

高橋さんは答えなかった。

代わりに、僕の目を見る。

「翔太くん」

「何?」

「君のお父さんは、生きている」

その言葉に、僕の呼吸が止まった。

「……何?」

「だが」

高橋さんは苦しそうに続けた。

「君を守るために、自分が死んだことにした」

僕は何も言えなかった。

父が生きている。

嬉しいはずだった。

でも。

なぜ隠れる必要がある?

なぜ僕を置いていった?

高橋さんは最後に言った。

「そして今、君のお父さんは――」

彼が続きを言う前に。

スマートフォンへ新しいメッセージが届いた。

送信者。

父。

本文。

『翔太、絶対に家を出るな』

そして次の一文。

『恵美ではなく、葵を連れて逃げろ』

僕と葵ちゃんは同時に顔を見合わせた。

その瞬間。

家の玄関から、鍵が回る音がした。

誰かが帰ってきた。

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でも。

その足音は、父のものではなかった。

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